Additional pages

Additional pages

2019年12月1日日曜日

人間ドックの顛末~2019宇宙の旅




「検体に血液反応がありますね。」


年に一度、会社から受診する病院での人間ドック。

お酒が全く飲めないゲコな小生、それでも喫煙だけはイッチョ前。
加えてお歳もお歳なこともあり、毎年での秋、必ず受けています。

毎年、そこでの決まってのご診断は、

「胆のうに小さなポリープがありますね。」
・・・これ、ストレスが原因だそうです。

「それから心電図に微細振が。」
・・・そりゃ、タバコを吸っているから。

「しかし、血圧も低めで血糖値も範囲内だから、まあ、様子を見ますか。」
・・・ありがとうございます。

この繰り返しでした。


でも今年は若干、先生のありがたいご診断にオマケがついて、
二日間で採取した検便の片方に、血が混じっているとのこと。

お尻の強度が低い小生。
心当たりはあるのですが、ここ最近、そっち方面は大丈夫でした。
もちろん、採便でも気付くこともなく。

「まあ大事をとって、専門医で検査を受けた方が良いですね。」


・・・毎年の晩秋、渓流釣堀や犀川C&R釣行で楽しい季節なのですが、
今年は残念、老朽化が著しい我が艦内の漏水検査で潰れそうです・・・


そんなこんなで、川の流れに沿うかの如く、
家内からも強い要請、お話は進んでいきまして、
その昔、そっち方面でお世話になった胃腸肛門科へ。


<旅の始めは出口近辺のお取り調べ>

診察台ではあられもない格好で横になり、
膝を抱えて、先生の「触診」を待ちます。

・・・こんな時、決まって看護師さんは綺麗なタイプ(涙)。

百戦錬磨の小生なんですが、
こう、なんと申しましょうか、毎度、
見えない後ろからの攻撃は気が抜けません。

「ハイ、お腹の力を抜いて」
背後からの先生のご指示に従えば、
何やら小生の出口から入り込むモノが、クっ!

「良いよ~、チョットだけ、力を入れてみて」
恐る恐るですが、下っ腹をリキんでみます、フっ!

・・・長いようで、実際は短いお時間。
まるで渓流釣りは、尺モノとのやり取りのような。


「痔の付近ですが、異常は無いですね。
 後日になりますが、内視鏡で中を見ましょう。」

まだまだ序の口、道半ば、でもホント、疲れます。


<旅は道連れ、世は情け>

検査の前日は、三食を繊維質の無い、腹持ちの軽いお食事で我慢します。

その当日の検査事前準備室では・・・
お歳の頃はどうでしょう、小生より少しお若いご婦人が既に。

お話を伺うと、便に見た目で分かるくらい血が付いていたから、
先生に勧められて内視鏡検査とのことです。
ご本人曰く、恐らくは「切れ痔」。

暫くすると、こちらもまた小生より若干お若いであろう、
ネクタイにスーツ姿の紳士が入室されます。
この方も、小生と同じく人間ドックで引っかかって。


三人ともお互い、素性を知らない全くの赤の他人ですが、
これから待ち受ける「試練」に覚悟を決めると、
何となくミョ~な連帯感が生まれます。

人によっては痛みを伴う検査とのこと。
検査前、まずはお腹の中を、きれいに空っぽにする必要が。

看護師さんのご指導の下、少し濃いめのポカリ・スエット、
そんなお味の下剤液を15分毎にコップ一杯、
繰り返すこと約数回、都合で1リットル以上!
それを延々と二時間ほど掛けて飲み干します。


その途中、武田の騎馬隊は波状攻撃、繰り返される便意・・・

もうこうなりゃ、恥ずかしいも何も、男も女も関係ないですね。
おトイレへ、三者入れ替わりでのお務めです。

出てくるシロモノが「お水」になり、
かわいい看護師さんの、ナニの「目視検査」を合格すれば、
目出度くも、旅の準備は完了です。


最初にお許しを頂けたのは・・・ご婦人でした。
早速にも検査室へ。

残るは小生、それに、ネクタイの紳士。
この手の勝負、決まって負けは小生でして、
ご婦人の約30分後に、紳士が合格を頂きます。

2つしかない検査室は満員に。
遅れて合格の小生は厳しくも殿軍(しんがり)、
空腹とヒリヒリのお尻、我慢すること、それから2時間・・・


最初に検査室から出てきたのはご婦人でした。

麻酔しての検査を選択され、車いすにてのご退室です。
トホホ・・・麻酔が効いて目がうつろ。


次いで二番目、その30分後に紳士がご退室です。
この方は麻酔なしでの検査、シャキっと歩かれて。

「いや~、ポリープが見つかっちゃって。
 検査途中に採取したから、一晩の入院です。」

このすれ違いざまのご報告を頂いた後、
いざ!小生も検査室へ・・・


<2019年 秋 宇宙の旅>

検査着に着替えて、お尻に穴の開いた紙パンツを履いて、
まな板の上の鯉、検査台の上で横になります。

先日の触診検査と同様、先生と看護師さんは背後に。
視線を正面に向けると、目の前にはモニター画面が。

小生もネクタイ紳士と同じく、「麻酔なし」での検査を選択です。

「ハイ、それじゃあ、肛門に麻酔薬を塗りますね。」

お尻から、何とも言えない先生の指先加減が・・・
暫くすると、その感覚が無くなります。

「じゃあ、カメラを入れますね。」

モニターに目をやると・・・
最初はピンボケ画面でしたが、突入後は鮮明な画像が。
きれいな赤とピンクが主体の世界です。

それは、まるで、遠い彼方の小宇宙。
ドボルザークの交響曲、「新世界より」が脳裏に響きます。


大腸は太い部分と細い部分が幾重も連続する管、
少しずつカメラは内部へ進みます。

まだこの辺りは、痛くも無く、痒くも無く・・・


そして鬼門はS字結腸。
このクネクネの腸管へ、カメラは突入します。

・・・ここからが痛いこと、痛いこと。
カメラが腸壁に当たるからなのか、
大腸を膨らます空圧がキツイのか、
小生、不覚にもうめき声が出ます・・・

と!
そのS字結腸に入っての直ぐ、白い影は大きめ、1cmくらいのポリープが。
・・・残念、これで小生も、一泊二日の入院コースが確定です。。。

「ありますね~、これ、帰りに採りますから。」

先生は松尾芭蕉、奥の細道にカメラを進めます。
そして、行き着いたは、その奥の奥。

「ここが盲腸、この先が小腸で・・・
 拡大しますね・・・
 これ、栄養を取る絨毛です。」

先生から、旅のご案内が続きます。


ここに至る途中にも3個ほど、
S字結腸でのそれに比べると小さいですが、
白い影はポリープがありました。


「それじゃあ、ここから引き返して、ポリープを採っていきます。」

カメラは少しずつバックします。

最後に捉えた小さなポリープです。
カメラの先から青い液体を振りかけ、
ポリープと腸壁を区分します。

次に輪の形のワイヤーがお出ましに。
先生がそのワイヤーでポリープを引っ掛け次いで通電、
ジュっと煙が立ち込め、患部を焼き切りサンプリングします。


・・・モニター越しは、遠い世界・宇宙での出来事のようですが、
紛れもなく、これは小生のお腹の中での出来事、不思議です・・・


「あれ?S字結腸の一番大きなヤツ、どこに行った?」

先生は小宇宙での旅の途中、ロストされたご様子です。
カメラを抜く際も、ここS字は痛いんです、ハイ。。。

「ごめんね、我慢してね、また奥に引き返すから。」

再度でのレイテ湾への突入です・・・
これが繰り返されること、都合で3回!
た・ま・り・ま、へん!

「あった、あった!こんな所に隠れていたか。」

大きめのポリープ、クイっとワイヤーを引っ掛けて。
焼き切る際には、これまで以上に煙が立ちます。

・・・その白くて部分的に黒い焼け焦げた痕跡、
痛くは無いけれど、これ、軽いヤケドだよね・・・

切り取られたポリープを、
カメラの先端は小さなアクチュエータで摘まんで摘出。
見せて頂きましたが、赤くて丸いイボのような。

この後、良性か・悪性か、分析されるそうです。



<旅の終わりは・・・>

そして昨日、分析の結果を伺いに病院へ。
結果は全て良性とのこと・・・安堵です。

先生曰く、
「取るには良いタイミングでしたよ。
 放置すると悪いものに変わる場合があるから。
 3年後にまた検査をお勧めします。
 そのころ、案内のお葉書を送りますから・・・」


・・・お気になる所があるご諸兄。
どうも、早め・早めのご対応が、よろしいようで。


<渓流写真は根尾川から。今年はパッとしませんでした。>