「なんじゃ、こりゃ?・・・もう、滅茶苦茶!」
<ああ、小市民のため息・・・>
一年ぶり、降りしきる雨の中で訪れた飛騨 秋神川。
そのランド・マークとも言える堰堤が跡形もありません。
(上の写真は昨年の今頃・・・)
今年7月の豪雨、それはここでも酷かったと、民宿から暑中見舞で知らされていましたが、まさか、これほどとは。
堰堤の上下流には、ここで釣ってくだされ的な人工護岸があったのですが、その一部は崩れ去り、対岸には大岩小岩・土砂が堆積して。
気候変動が叫ばれる昨今、改めてですが、川の流れが怒り狂った時、その恐ろしさ、すさまじさを感じます。
「ええんかしゃん?地球環境の将来は?世の中、人類はこんなんで?」
・・・一人の小市民たる小生が、そんなことをポツリと名古屋弁で言ったところで、何が変わるものでもなし。
せめて釣行は軽自動車で安全省エネ運転で、キジ打ち(小)はやむをえずとも、ゴミ・クズ糸はお持ち帰り、7寸以下の小魚はお持ち帰りしない・・・
くらいかな?出来ることって。でも、出来ることから・・・
<秋神川の袂に立って>
今朝は早朝から本降りの雨でした。
道の駅 あさひ での車中泊。
既に昨夜から雨の気配、諦めの臭いがプンプン、もう目覚ましのセットを6:00と遅めに。
その後、高根の日和田川まで様子を見に登りましたが、降りしきる雨、国道と山斜面に挟まれた狭い渓谷に降り立つことに怖じ気づき、本日のお宿に近い秋神まで引き戻った次第です。
・・・冷たい秋雨。
地球環境も去ることながら、コロナのきょうび、おちおちと風邪も引けません。
・・・して、本日の戦略は?
雨中釣行は極力で控え、午前中のみでもがんばったら、もう、お宿へ直行!
良い意味ではとても慎重、はっきり言えば軟弱な小市民は小生なのです・・・
桑之島の集落はその外れ、崩れた堰堤から数百mの下流、川は大きく蛇行します。
その辺りからの入渓。
昨年も雨の中、このポイントで竿を出したのですが、ここも大きく景色が変わってしまっています。
樹木に覆われていた中洲は消え去り、そこには岩が広範囲に堆積。
エサ師にしてみると、枝木の無い開けた頭上は振り込みやすく、また、釣りやすく。
結果、砂地にはたくさんのご同輩の足跡が。
荒れた渓相を見ていると、この夏の平湯川、蒲田川を思い出しますが、何が一体違うのか?ここ秋神川では「ドロ臭さ」を感じません。
こんな条件が重なると、言わずもがなの方程式、釣れるは小アマゴさんばかりナリ。
・・・でも、お魚が居るだけでも、ね、ヨシとしなきゃ。
そんな中、ひときわビックな引き加減のお魚が!
こりゃ、尺に近いのでは?
雨で増水の流れに乗られると細糸の当方、不利・厄介です。
慎重に、慎重に・・・緊張のやり取り。
雨で視界が霞む手元のたも網、そこに収まったのは・・・
また、今年も君か、お外道くん!
と言うことは・・・
渓相は大きく変わってしまった秋神川ですが、相も変わらず、お魚の楽園と言うことです。
雨がますます激しくなってきました。
枝木の漂流物に濁りも濃くなった様子。
残念ですが、本日はここまで、お宿に向かいました。
<午後からは日帰り温泉&情報収集>
民宿に向かう途中は西洞川、とても流れが濁っています。
その出会いより上流は本筋、秋神川の加減は笹濁り程度。
濁りはここからか・・・明日も出会いより下流はペケかな?
お宿に早々と入り、女将にご挨拶です。
必然と話題はこの夏の豪雨になり・・・
今見てきた西洞川が荒れに荒れ、これより遥か上流のお宅では、増水で玄関先にイワナが泳いでいたとのこと。
女将も川から岩と岩がぶつかる音、雷のような音を聞いたそうです。
・・・今回の釣行、帰路は鈴蘭高原越えで飛騨小坂へ。でも、いつもの県道は通行止め、う回路はこの西洞川沿いで鈴蘭峠に至ったのですが、何か所もの片側交互通行、土砂・倒木で埋まった堰堤など、酷いものでした。改めて、災害の大きさを思い知りました・・・
午後からは雨の中、たまにはいいですね、やることなし。
女将に近所の日帰り温泉を紹介いただき行くことに。
この温泉、最近で設定された秋神川のC&R区間、そこから上流に位置しています。
この辺りで糸を垂らしたこのが無く、温泉の前に川を覗き込むと・・・
雨は小止み、併設されるキャンプ場のお客さんが河原に。
・・・へ~、良い雰囲気じゃん。アプローチも容易で。
これ以上、雨が降らなければ、流量と言い、濁り加減と言い。
よし、決まり!明日はここで竿を出してみようか・・・
<雨も上がり、涼しい早朝>
この近辺は南北に流れる秋神川、まだ朝日は差し込んでいません。
昨日と違い良いお天気、遠くの山が朝霧で霞んでいます。
駐車帯には一台の高齢者マークの大型四駆、ご同郷は尾張小牧ナンバーがありました。
その主は見渡す限りではご不在の様子、ともあれ、始めて見ますか・・・
キャンプ場前の瀬では無反応、いい雰囲気なのに、おかしいな?
暫くすると、ご同輩はご老体が下から釣り上がって来られました。
「おはようございます。」と礼儀正しくご挨拶は小生。
「ああ、おはようです、今日は水が高こうて、難しいですわ・・・
先ほど下って、もう、上に向かうところですわ。」
なるほど・・・それで、ここは無反応か。
職業病は小生の悪い癖(探偵じゃ、ないですよ)、チラ見でご老体の装備を。
竿は天平の5.3m、エサはイクラのみか・・・
こりゃ、我に勝機あり!
しかし、ほんと、イヤらしいなあ~、オレっち。
「エエですかの~?こっから下っちゃって?」と、心でほくそ笑む小生。
「ああエエですに。誰も下には居らなんだで。」と、ご快諾はご老体。
遠く飛騨 秋神で交わされる、お国言葉は名古屋弁。
・・・今週末も、アコギな”落穂ひろい”、その幕が上がります。
手前側に位置するポイント、そこはご老体がお手入れ済み、パスします。
難易度は高いですが、ギリ届く7m竿にて大岩の裏へ、ワイヤーと枝木を避け、慎重に狙いを定めて振り込みます。
この時ばかりは、小生、ものすごい集中力!
・・・とても粗忽者とは思えないくらいの!
して、その結果は・・・よっしゃ!8寸超え!
旧海軍のお家芸、アウト・レンジ戦法は、まだまだ続きます。
僅か数%の命中率だった当時の主砲弾。
きょうび、当方の命中率は70%くらい・・・もち、残り30%は”枝釣り”です(笑)。
<秋神川をさかのぼり>
キャンプ場前の瀬を後にして、さあ、秋神川を登ります。
9月も下旬、秋は本番を迎え始めます。
陽が差し込んできましたが、その感触は柔らかく。
山肌は未だ緑が支配的ですが、そこかしこに黄赤が混じり。
秋神川は初めてのポイント。
この岩の向こう側、木々の裏には、一体どんな風景が?
初めての場所はそんな楽しみと、一人で渓谷に分け入る怖さから、
歩みを進めたいような・無いような、複雑な心境が交錯します。
そんな中での釣行と釣果。
一人気ままな、でも、ちょっと不安な渓流紀行。
見通しの悪い林の中、腰に熊鈴・ままホイッスルを鳴らし。
お空の様子を注意深く眺めながら、少しでも曇りだすと増す不安。
「マズい、ここで降られて、川が増水したら、向こう岸に渡れないかも・・・」
不安と恐怖にかられながら、林を抜けて、広い河原に出てみれば、
そこは存外、近所の子供たち、その遊び場だったりして。
エエ歳をコイたおじさんの、そんなのんきな週末の冒険?
それも今シーズンは今日までです。
いつもシーズン終わり、渓流を後にする際に思うこと。
・・・コロナに水害、今年はいろいろ問題もあったけれど、
こんな感じで相も変わらず、一人で山の中の寂しい河原に、
降り立てられたなら、それ以上の幸せは無いような・・・
こんにちは!
返信削除秋色に染まりかかったアマゴも綺麗で良いですね。
自然の猛威も凄いですが、そこに生きる生物の強さにも驚きますね。
紅葉の季節になったら産卵も始まるのかな…来シーズンが楽しみですね。
アサシンさん、こんにちは!
削除このところ毎年のように繰り返される自然災害です。
近隣の岐阜県で起きると、日常と非日常が間近に思えて。
・・・林の中で雲行きに一人焦り、でも、近くは子供の遊び場だった、ような(笑)。
何年かを経て、その非日常が元に戻るのでしょうが、早くも復活を遂げつつある川の生き物。
小生もその力強さに驚きました。
来年もまた、その神秘性に触れたいです。