2017年6月6日火曜日

初夏なのに寒かった 高原川釣行

ご諸兄各位殿


「一人旅ですか?」

温泉上がりの民宿の食堂。


小生が夕食のため着席すると、浴衣姿のおじさんからお声掛けが。

本日のご宿泊は小生を入れて3組のみ。
お一人がこちらのおじさん、もう一組は軽トラで2人連れの若者。

お声を頂いたおじさん、聞けばすでにご定年を迎え、札幌がご自宅とのこと。
そこから自由気まま、自家用車にて下道で全都道府県をご訪問中。
今朝は奈良から、今夕はここ奥飛騨、そして明日は那須塩原へ。

・・・優雅ですね。

かくいう小生、既に指折り数えれば、両手で済む年月で定年なるお年頃。
めでたくもその時を迎えた暁には、今日のような悪天候はそつなく回避、
好きな曜日に好きな天候、夜討ち朝駆け、一層に渓流三昧に勤しむ覚悟!

歓談夕食で、お互いに旅の労をねぎらった後、またまた温泉へドボン。
今日の苦戦を明日の善戦に替えるべく、早めに床に就きます。


<寒い朝、さあ、どこに向かおうか・・・>

翌朝は4:30に起床。
簡単に自前の朝食を済ませ、往生際悪くもう一回の温泉の後、渓流に繰り出します。

ハスラー号の外気温は4℃を表示、6月の初夏に冷え込んだ朝です。
でも、お空は快晴、風もなく。
ただ、若干は水が引いたものの高水は高水の蒲田川。

「ここ栃尾温泉は標高が高いから寒いな~。下るか、高原川を。」

軽巡ハスラー号は神岡方面に進路を取ります。
途中の国道沿い、ぽつぽつとご同輩の車がポイント毎に駐車中。
皆さま、冷え込む朝の高原川で頑張って見えます。

昨日のトヤ峠を降りた際、高原川を渡った高原橋、そこから川を覗きます。



いい按配の渓相は高原川、ここも若干の高水ですが、ヤレなくもない様子。

「よし、ここにするか!」

橋を渡って国道の対岸、畑わきの木陰に駐車して周囲の様子を探ります。
農家さんの庭先から高原川沿い、杉林は山中に入り込む小道を見つけ。

・・・つたない経験からですが、この手の道はまず川へ降りられるかと。


木こりさんが使うであろう山道小道、
木々の中、林道を歩いていきます。

眼下の高原川へは急斜面下を10数mほど。
どこかに降りられる糸口、
それが必ず出てくるハズ・・・

早朝の林道、歩みを進めます。
お腰につけた熊鈴がチリン・チリン。

・・・ありました。
斜面が僅かに緩やかになった場所。
ここなら何とか降りられそうです。

慎重に落ち葉、草木の土斜面、
そこをゆっくりと、確実に下り・・・


河原に降り立ったのですが、振り返れば周囲は似たような木々ばかり。
退渓口を見失わないよう、目印として木にコンビニのビニール袋を括り付けます。


・・・もちろん、退渓時には回収を忘れずに。


<高原川は高原橋上流、独断場!>

案の定、昨日の雨以降、いや、ここ暫くはご同輩が訪れていないポイント!
足跡もなければ人が存在した形跡は全く感じられません。

さあ、始めましょうか!高原川はその本流、二日目釣行!
まずは落ち込み後の淵から!

エサのミミズさんを針先につけ、10mの本流竿を存分に振りかぶります。
B2号の錘は飛距離十分、戦艦は砲撃戦の展開です!

”打ち方、始め~!!”

朝日に照らされ眩しい川面。
エメラルドの水が目にしみます。


・・・と・こ・ろ・が。

意気込みまでは良かったのですが、振り込み繰り返すこと2回3回・・・
数回も同じ場所を流すのですが、ウンもスンも無く。

「ふっ、まあこんなもんよ。よし、釣りあがるか。ポイントは無尽蔵じゃ!」

陽が差して明るくなった河原をさかのぼります。


川に向かって繰り出す一刀一打。
丁寧に、そして正確に・・・されながら。。。

段々瀬の中段は緩衝地帯・・・アタリなし!
国道下のコンクリ岸壁際・・・アタリなし!
次の落ち込み下の白波際・・・アタリなしのなし!

「く~、なんだか本当に単調な砲撃戦・・・」

しか~し、この落ち込みの流心白波の間隙、仕掛けを振り込み馴染ませ、
十分に錘が底付きしたであろう、そのタイミングで・・・

アタリです!

刹那に、慎重に、
僅かに糸を送り込み・・・

逃さんぜヨ、このチャンス!

アワさせていただきヤス・・・
で、掛かりました!!

先方被弾は巡洋艦?
川底を元気よく上へ下へと走り!


感触からそこそこのサイズさん、お外道はウグイ様ではないご様子!
水中糸は細糸の0.3号、慎重に駆け引きの末、徐々に揚がって参りました!
水面際で引き抜いて、たも網にフィニッシュです。


お出ましになられたのは、後測28cmのきれいなイワナさんでした。

先の石徹白川のニジマスさんに引き続き、残念無念は尺足らず・・・
いやしかし、いい引き加減でした、好敵手!


<今日もまた、お後が宜しくないようで・・・>

2匹目を期待して、この落ち込みの残るスジでがんばるのですが・・・
いけません、本日も後が続かず。

落ち込み上の瀬尻で川虫を捕らえ、試行錯誤を繰り返すのですが。


その落ち込み上、高原川は表情を変え、瀬は広い広い川幅に。



瀬に点在する岩陰、弛み、受け、揉み合わせ・・・虱(しらみ)潰しも甲斐がなく。
ようやく、その広い瀬の上流、緩め深めの流れの川底から、
お出ましになったのは・・・


アタリ前田のクラッカー・・・若い人は知らないっか。。。


<引き際はお間違えの無いよう>

先のイワナさんを揚げたころから、またぞろ、風が吹き始め。
そして今また、お空は雲に覆われて・・・雨が降り出しそうな雰囲気です。


・・・いけません、雨に降られると、あの退渓口は土斜面、登れなくなります。

”艦長、ともすると、退路を断たれます。ここは忍んで撤退すべきです!”
心の中の副艦長が意見を具申。

残念、大事を取って、まだお昼少し過ぎですが、本艦は戦線離脱です。



林道を農家さんの庭先まで戻ると、おばちゃんが畑仕事の真っ最中。
近隣の方にはご挨拶すべきは渓流釣り師。

小生    「こんにちは。」
おばちゃん 「釣れましたか?」
小生    「はい、一匹だけ・・・」
  苦笑いの小生。
おばちゃん 「今朝は冷え込んだからね~、ごくろうさまです。」
  どこまでも、屈託のないおばあちゃんの笑顔。

初夏なれど、また今年も厳しい天候に左右された、高原川釣行でした。


<データ>
6月3日 
エサ    :ミミズ、川虫
竿      :10m  
仕掛    :針 吉村7.5号、 天井糸 0.6号 4.5m
        水中糸 0.3号 4.5m 
         錘 B1~B2号
釣果    :イワナ   28cm 1匹
         ウグイ   1匹 もちリリース
気温    :4~15℃  
天候    :曇ったり日が差したりの強風
        雨が保って幸い
表層水温 :10℃



帰路は大坂峠経由で飛騨国府へ・・・トヤ峠はこりごりです。