2020年8月12日水曜日

夏ヤマメ~庄川・六厩川釣行




庄川への到着は日が傾きかけた15:30、夕まずめ狙いでした。

つい先々週、梅雨は明けたのですが、暦の上ではもう秋。
ご挨拶も「残暑、お見舞い申し上げます」です。

それでも河原に降り立てば、日の当たる場所ではこの時間でも汗が。

西からの厳しい夏の斜陽。
それを木立が防いでくれる日陰のポイントでは、
流石にここは荘川です、川面を抜ける風が心地よく感じます。

遠くのセミ時雨とせせらぎが涼し気に聞こえる夏の夕方。



<土地の人にご挨拶>

いつも庄川では五連水車が目印、お蕎麦屋さんの裏手で主に竿を出す小生。
旧荘川村を流れる庄川、長い区間を有するのですが、いつも主にそこで。

この辺りならダム湖である御母衣湖からのサシモノも、
はたまた、
川幅があり川の対岸は深さ・速さもあり居着きのオオモノも。

和洋折衷じゃないけれど、
良いとこ取り・スケベ根性を駆り立てるポイントなのです。
こんな腕前の小生ですが、それでも、そこで過去に実績があり・・・


でも、今回の釣行は、あえてそこを外しました。

つい最近は7月にも伺っています。
また、機会が少ないであろう今年の漁期、新規開拓の心も疼きます。
それに、あそこはアユ師銀座でもあり・・・


いっそかなりの上流へ、と思って行ってみたのですが、
残念、この時間でもご同輩・アユ師らしき駐車車両が数台。

踵(きびす)を返してそこから下流へ。
毎度の如くは行き当たりばったり、何でもないあぜ道から庄川にアプローチします。
その途中、路肩は軽トラの横で農家さんが農具の手入れを。

・・・きっと、このあぜ道と周囲の畑の持ち主でしょう。
時節柄、かなり距離を置いて、お声がけのご挨拶を・・・

「すみません、魚釣りなんですが、
 そこに車を置かせて頂いて構わないでしょうか?」

「ああ、エエですよ、鑑札を持っとりゃ、エエですよ。」

こんな昨今ですが、ありがとうございます。
即でのご快諾、ご厚意に甘えて川沿いは土手の上、
納屋らしき建物の横、日陰にハスラーを停めさせて頂きます。



<落ち込み後の深場にて>

土手を降りての直ぐにある淵。
毎度、セリ出た木立・枝木がクセ者です。
竿7mに4.5mの水中糸のみを装着、チョウチン気味で開始します。

木立の向こう側から西日がチラチラ差し込みますが、
淵は日陰にとっぷりと隠れ、深い川底は見通しが効きません。


土手の上での着替えは汗だくでした。
でも、川に降りれば涼しい風が吹き抜け目印が揺れます。
お空には抜けるように青空が高く、まま、もくもくと入道雲が。

2~3投目かの後、セリ出た枝木を回避のため、
竿先を下げ、また上げた瞬間、アタリです!
・・・と言うより、既に掛かっています、お魚が。

頭上を過行く雲や頬を伝う爽やかな風に感じ入っていた手前、
少々、油断していましたが、これ、かなりの、引きの具合かと。。。

薄暗い淵底で翻る銀影、その加減からもオオモノです、いきなり!

短めの糸ですが、お相手の重量があるためなのか、
竿の全ズームともう一本を縮めて丁度の取り込み姿勢に。
河原にしゃがみ込んで、たも網を準備、水面を慎重に滑らせます。



納まったのは庄川特有、
スリムで長細く尾ひれの大きい、パーマークの無い銀チャン!

も~う、端正な顔つき、お久しぶりです。
きっと湖からの遡上モノでしょう、尺はあるかな~?

・・・でも、ごめんなさい、針はしっかりと飲まれて、お粗末!


<のんびり、夕まずめの庄川散策>

夏ヤマメ 一里に一匹、と言われます。

早々と今夕の勝敗は既に決しました。
あとは、のんびり、新規開拓の散策釣行です。


ゆっくり、夕景を収めながら、糸を垂れながら、川をさかのぼります。

これ以上の釣果を・・・
などという、イヤらしいスケベ根性は封印して。



その後、川から上がり着替えを済ませます。

帰路、あぜ道の途中では、先ほどの農家さんが草取りを。

「どうでしたか?」

その問いかけに遠間から、改めてのお礼と尺上一本の釣果(この時は未確定でしたが)、それを伝えて後にします。


庄川と一色川の出合い近辺。

日暮れ時の庄川。
東を向けば空の蒼が水面に映り込み、
西を向けば沈みゆく夏の夕日に照らされて。

・・・とても、きれいです。





さあ、翌朝は六厩川です。
今宵は持参したカップ麺を車内で頂きます。

陽がとっぷりと暮れてから、
ハスラーは車中泊サイトを目指して、
R158は軽岡トンネルを抜けるのであります。


<車中泊の翌朝>

今回もトイレだけが併設された駐車帯での一夜です。
標高が1,000m近くあり涼しい夜。
LINEでの家内情報では、尾張北部は熱帯夜とのこと・・・
申し訳ないです、ハイ。


寝るときは小生のハスラーが一台こっきりでしたが、
翌早朝、目覚めると春日部ナンバーのステーション・ワゴンがお隣に。

起き出してきたのは20代は中頃の青年でした。
洗顔で水場に向かう途中で話を伺うと、郷里の福井まで帰省の途上とのこと。
難しい昨今の状況、みなさん、知恵を絞っての行動ですね。


朝食を頂き、お勤めの後は、
小生にとっての秘境、林道深く六厩川へ向け出立です。


ここ4年ほど毎年訪れる車止めから奥への六厩川ですが、
斯様な辺鄙・辺境な山奥にもまず毎回でご同輩が居られます。
皆さま、概ねはこの車止め近辺での釣り。
でも、今年はその車止め、一台も駐車車両がありません。

・・・人の心とは誠に勝手なものでして、
居るとなると「しまった、先を越された」でして、
居ないとなると、これはこれ、さて、とても心細いもので。

いずれにしても、来てしまった以上、ここは、行くしかありません。
装備一式をまとめ、今年もまた単独での山河釣行です。


予報では雨の心配は無いとのこと。
まま雲が広がるそうですが、気温は正午で30℃近くに。

水や食料は十分、でも、無理は絶対に禁物の「一人世界」の冒険釣行、
退渓時刻は暑くなる手前、11:00と心に決め。

いざ!車止めのゲートを越えます。


<早朝の森茂六厩川林道>

例の如く、クマ避けには大音量で携帯スピーカーから行進曲を。
渓谷に「荒野の七人」「大脱走マーチ」「軍艦行進曲」が響き渡ります。
・・・繰り返しますが、小生、決して政治結社のメンバーではなく。。。

林道が大きく山側にカーブ、見通しが悪いです。
そんな所では秘密兵器!フォイッスルを吹き鳴らします。

・・・山間部での細道曲道、車の警笛と同じですね。
ポイントは、如何にクマさんに小生の存在を知らせるか・・・

そんな心配もありますが、そこは誰もいない山奥の朝です。
空気がとてもヒンヤリ、谷間を抜ける風も心地よく、
重装備ですが足取りも軽く快適です。

まま所望する、タバコ(もち、携帯灰皿で)とお茶が美味しいこと!


昨年の入渓ポイントまでは徒歩30分ほどで到着です。
今回はそれより奥、2年前にノンタンさんと一緒に訪れた、
更にここより15分ほどのポイントを目指します。


ぐんぐんと分け入る林道。
道と川面との落差が無くなる入渓ポイントに到着です。



<夏のオオモノを求めて>

昨日と同じく7m竿を選択、でも昨日とは違い1.5mの天井糸を装着。
川幅のある六厩川のこの辺り、思いっきり竿が振れます。


こんな岩場では本日、アブが執拗に追いかけてきます。
防虫スプレーを振り掛け、シャツの襟を立てて。

その岩場の上流・・・見えてきました!
2年前に20cm台後半のヤマメ、イワナを釣った淵が。


しかしながら・・・


何のこっちゃ!?
今朝はあり得ませんが、比較的に新しい、昨日あたりのご同輩の足跡が。。。

・・・車止めからエイこら、都合45分の歩行は努力でした。
もちろん、アマゾンは未開のジャングル奥地ではなく、
現実として小生もこの無人の地に至っています。

しかし、
あろうことか、ここまで歩かれたご同輩が、つい最近で居ようとは(落)。
う~ん、夏の秘境でのオオモノ釣り、暗雲が立ち込めます。


気を取り直して、淵に仕掛けを振り込みます。


ああ、やっぱり、掛かるは小ヤマメさんならぬ、小アマゴさん。。。


それに続くは小ヤマメさんばかりナリ。

「あか~ん、この淵、完全に手が入れられちょるわ。(名古屋弁)」


<六厩川 渓谷の旅>

さあ、ど~するか・・・
限られた時間です、これ以上に川を下れば帰路が遠くなります。
一抹の不安(後で見事に的中します)はありますが、
ここは定石通り、川をさかのぼります。


ザラ瀬はやり過ごし、落ち込み・小淵にのみ的を絞って。
エイコラ、エイコラ・・・歩きにくいを歩き。


それでも、知る限りの入渓点は退渓点でもあります。
途中、林道に登れそうなポイント、あったような・なかったような。
戻ることを考えると、躊躇と邁進、心が揺れます。




的を絞っての振り込み。
でも残念、挙がるのは小ヤマメさんのみ・・・


お!
良さげなポイントです。


日陰・岩陰に流れ込む落ち込み。
対岸の岩壁直下は深め・暗めで、いかにも、って感じです。

しかしながら・・・


いえ、先ほどから気付いてはいたのですが、一抹の不安はこれです。
ここにも、ご同輩の足跡が・・・

どうも小生、昨日あたりに先行されたご同輩、
その方と全くに同じ行動パターン、彼に従って川を登っているような??

結果、これまでも渋めな釣果???
きっと、お上手な方なのでしょう。。。

しかも、昨年の入渓ポイントが視界に入ってきちゃいました。。。
ほんと、よ~歩いたワ。

しかし、これで退路の心配は無用、邁進のみ!
再度、気を取り直して「落穂ひろい」に専念と参りましょう。


<落穂ならぬ銀シャリ>

納めていた竿を伸ばして、
糸をピ~ンとシバいて、
落ち込み横の反転流に振り込みます。

目印が流れに乗って、護岸の直下、最深部に至ったあたり、
目印に僅かな反応が・・・アワせます。

返す手応え、それは意外にもイイ感じ!
すわ、お相手は下流に向けて走り出します!
これが結構な速力&引力、オオモノだ、こりゃ!

糸が切れない程度に竿を制御、走らせ・疲れさせ。
しかし、このお魚、誠に元気です。

上へ下へ、浅瀬に深場に・・・
都合、30秒程度のやり取り、対峙も終盤、挙がってきました。
ムリせず、水面を頭だけ出して、つつつ~と、滑らせます。

当方も、しゃがみ込んで、たも網を水面に漬けて、受け入れ準備。
7m竿に6m糸、大きなお相手に竿を目いっぱい持ち上げて、ネット・イン!


8寸は余裕に超え、9寸弱程度、庄川系のスリムな夏ヤマメ。
胸ヒレの大きさが、引き具合を納得させます。
・・・「落穂」なんて言ったら、叱られちゃいそうです。

吉村渓流の7号針はお魚の口の縁にしっかりと。
良い掛かり具合でした、お魚へのダメージは皆無です。


時刻は10:45。
そろそろタイム・アウトのお時間です。
昨年の入渓点から退渓して、
30分の林道行進を「クワイ河マーチ」の調べに乗せて。


林道の遥か眼下を流れる六厩川。
まだ午前ですが、夏の日差しは容赦なく、まま現れる雲が助かります。

・・・木陰・木陰で休憩・水分を取りながら。
過ぎ行く夏、その景色を楽しみながら・・・


今年の六厩川での小さな冒険、これにて無事終了です。

ひとりこっきりの渓谷での釣行。
それでも、なんや・かんやと出来事が。

この楽しみ、また来年の夏に・・・



<データ>
8月9日  庄川 荘川地区
8月10日 六厩川
エサ   :ブドウ虫、ミミズ
竿    :7.0m  渓峰尖 
仕掛   :針 吉村7号 
      錘 1~1B号
              天井糸 0.6号 1.5m(庄川は無し) 
                  水中糸   0.3号 4.5m
釣果   :庄川
      ヤマメ 31cm 1匹
      小ヤマメ     数匹
     :六厩川
      ヤマメ 8寸超  1匹
          5寸   2匹
      イワナ 5寸   1匹
      小ヤマメ     数匹
      ・寸表記はリリ~スです。
気温   :庄川
      26~28℃
     :六厩川
      18~28℃ 
天候   :晴れ、まま曇り
表層水温 :17℃