ご諸兄各位殿
20年ほど前、初めて買った渓流釣りの「教科書」は、
”最新渓流釣りマニュアル”(つり人社 1997年)。
当時、渓流釣りにはまったく興味が無く、赴任先の埼玉はその近く、
組合行事は奥多摩でのニジマス釣堀の参考の為。
巻頭の写真は、釣り上げられひと抱えもある大きなヤマメ。
そして、弓のように湾曲した本流竿、それを中腰で懸命に堪え、
しかし、どことなく笑みを含んだ形相で水面をニラむ釣り人が。
・・・その時はこの「含み笑い」の真相が分かりかねましたが、
若干でも経験を重ねた小生、今では良く理解できます。
その教科書、冒頭の端書きは「書を捨てよ、川に出よ」。
・・・ここに書いてある内容は、ほんの入り口は参考程度、
あとは川があなたに、自然に渓流釣りを教えてくれる・・・
筆者は小生と同じく町育ちで、山や川に憧れを抱いているようです。
教科書の末尾は「温泉の楽しめる渓流釣り場」、
いの一番に挙がっているのは、伊豆の河津川です。
そして二番手は・・・ここ、高原川と奥飛騨温泉。
流石は教科書に大きく挙げられている渓流中の渓流。
残念ながら年に2~3回しか訪れられないこの川ですが、
景観、食事、温泉・・・そして釣果と、思い入れのある河川です。
<神岡下流、跡津は厳しめ>
今回最初に訪れたのは跡津川、初めての川です。
時刻は既にお昼過ぎ。
R41沿いは高原川から最終集落まで、細道を車で登ったのですが、
水量過多で流れは激流。
十分な河原も見当たらず、代わりに見当たるのは何かの工事。
良い頃合いにアプローチ出来そうな降り口は、工事関係の道ばかり。
偶然にお話しが聞けた、昔、魚券を扱っていたと言うおじいさん、
そのお話しでは2~3年前からダム放水の法律が変わり、
跡津川はほぼ毎日でこのような激流状態とのこと。
川の状態もさることながら、
一生懸命に工事・お仕事を行っている所へ、
娯楽の釣りで分け入ることは憚られ、跡津川は諦めました。
きびすを返して、高原川は上流へ向け舵を切りますが、
降り立つ本流も川幅が広がり、水はかなり多め。
時間も時間ですが、ご同輩は人っ子一人として・・・
その状況は浅井田ダム近辺も同じで、ダムはダ~ダ~と放水。
轟音、爽快、迫力満点・・・
でも、
雨の多かった昨今、本日の高原川本流、小生の腕前では難しめです。
上の写真2枚は岩井戸橋から。
<困ったときの双六さん>
高原川本流がペケなとき、小生の救世主は双六川。
・・・これも、パターン化してきています。
ところが、いつものポイントの降り口には習志野ナンバーのお車が。
・・・さあ困った、ご同輩の様子。
やむなくは双六川、新規ポイントの開拓です。
そこから2km程上流、霊験あらたかなお宮の前。
川への降り口は見当たりませんが、
10mほどの急な土手を降りれば、河原に降り立てそうな・・・
いや、かえって、このようなポイントは竿抜けでは?
慎重に慎重に、急斜面の土手を、一歩一歩で下ります。
一見、急な土手でしたが、枯れ草が良いブレーキとなり、
斜滑降にて意外とすんなり河原に。
降り立った河原の直ぐ下流には、大岩から成る急流が・・・
その急流が形成する段々の受けを、本丸、二の丸、三の丸と、
一つずつ攻略します。
画面中央、そんな二の丸をスナイパー、すると何かが掛かります。
良い感じの手応え、そこそこサイズ??
でも、手前の急流に潜られると厄介、糸が切れる恐れも・・・
えいや!と、抜きます。
揚がってきたのは・・・ヤマメさんは8寸程度。
それでも、今季では小生にとって最大です!
その後は神社の正面、斯様な落ち込み後の流れで。
先ほどからエサはブドウ虫・・・2匹を追加です。
と、ここで懐かしい童謡は「夕焼け小焼け」のメロディーが、
大音響で谷川をこだまします・・・時刻は17:00。
まだお魚の存在を感じながらも、残念、本日はここまで。
<朝の高原川は音沙汰無し>
翌朝、若干の引き水を感じる高原川は、昨日で様子見をした岩井戸橋から。
橋の袂には飛騨ナンバーの軽ワゴンは先行者が準備中。
小生と同じくエサ師さん、少しだけお歳上?
装備を拝見すると根拠は無いですが、かなりの腕前とお見受け。
ご挨拶とお話しを伺えば、橋から離れた上流に入渓をご予定、
橋の近辺なら問題ないとのこと・・・ありがとうございます。
まずは手習いの復習。
橋は手前の分流で川虫を捕りますが、その主なものはクロカワ。
そしてまま、ヒラタにオニチョロ。
大きめクロカワで開始します。
橋下の堰堤、その少し上流の落ち込み淵、その上の荒瀬。
・・・まったくアタリがありません。
ミミズ、ブドウ虫も同様です。
暫くすると漁協の巡回さんが。
聞けば本日は冷え込み、2日前には奥では雪が降ったとのこと。
・・・水量はありますが、余り良い条件では無さそうです。
小さいですが、遠くにその巡回さんと先ほどの先行エサ師さん。
・・・早朝の春(暦の上では既に夏)の渓流、
手前の木々の黄緑、奥の山々は深緑、とてもきれいです。
釣れぬ、釣れぬ・・・が続くあと、
先行のエサ師さんが後ろを通られます。
釣果を尋ねると苦笑い、首を横に振るばかり・・・
やはり、地元のベテランをもってしても、本日は厳しいご様子です。
こりゃ、潮時か・・・時刻は早くも8:00。
<本日も双六詣で>
双六川はいつものポイント、本日はご同輩のお姿も無く。
昨日は今日のポイントです、
大場所で手応えが無ければ、その見切りは早めに。
上流下流は前後のポイントもお手入れしますが・・・
昨日の習志野ナンバーさんは上級者?
ここも、まったく、音沙汰無し。
川虫を採取すると、それは高原川本流と同じく、クロカワが主体。
・・・ヒラタは少ないです。
ただ、エサを取り替え・引き替えしても好転の兆しは無く、
アタリが無いまま、時は流れ・・・
よし!
こうなりゃ、今少し残存感のあった、昨日の夕刻はお宮の前へ!
陽は高くなり、大岩からの照り返しが眩しく暑く・・・
昨日はブドウ虫で3匹の釣果。
でも、今日はブドウ虫ではサッパリ。
唯一、本命はクロカワでアタリが!!
しかし、何でしょうね~。
アタリはあるものの、アワせてもエサばかり取られる始末。
これが何回か続き・・・仕舞いにゃ、そのアタリさえ無くなって。
エサの選択は良かったのでしょう、
しかし、ピ~カン晴天はお昼近く、
昨日の好調が気を大きくして、ズケズケと川に入り込み・・・
気配を悟られたか!?
「書を捨てよ、川に出よ」
まだまだ、川で、現場で、知るべき事が山積・・・旅は続きます。
<データ>
5月11、12日
エサ :ブドウ虫、ミミズ、川虫
竿 :8.5m 渓峰本流
仕掛 :針 吉村7号
天井糸 0.6号 3.0m
水中糸 0.3号 4.5m
錘 B1~B3号
釣果 :ヤマメ 18、22、24cm 各1匹
11日の夕まずめ、でのみ・・・
気温 :11日 22℃
12日 5~23℃ 体に響きます
天候 :晴
表層水温 :8℃