2023年10月22日日曜日

粗忽者の後始末~本流竿の穂先交換修理



 
永遠無窮(えいえんむきゅう)。
その意は、形あるものはいつかは壊れる。

その昔、
隆盛を誇った平家も源平合戦を経て没落へと至りました。
平家物語にも、その栄枯盛衰が記され、
同じような意味合いとして「諸行無常の響きあり」と唄われています。

改めて、形あるものは、いつかは壊れる。


法事か何かでお寺参りをした際に、
和尚様からありがたい法話を頂きますが、
そんなお説教のような文言で始まった今回です・・・


この夏に訪れたのは奥飛騨 高原川への釣行でした。

9寸サイズのアマゴさん、ニジマスさんを釣り上げた後、
煽ったつもりは無くも根がかりで、
本流主力竿はスーパーゲーム・スペシャル・ロング、
(高かったンです、これが。。。)
挙げた拍子に#4の節がナゼか途中からポキリ!!

めちゃ、ショックでした・・・

折れた節より先の竿、それが回収できたことは不幸中の幸い、
その折れた#4も注文から二週間くらいで入手が叶い、
最終釣行の益田川本流では戦線復帰でした。

・・・もち、結構な出費を。。。


よ~し!
復帰戦ではオオモノを釣るぞ!
・・・の、意気込みだったのですが。

河原に降り立ち、穂先に糸を結わえる際、
あろうことか、更なるダメージに気が付いて(涙)。

竿の穂先は金属製の回転トップ、それが見事に曲がっているじゃないですか!

しかし、一体全体、
いつ、ヤッてしまったのか?とんと記憶が無く。


益田川での釣行は穂先小破の状態で続行も、
もう間もなくの晩秋は信州犀川での大ニジマス釣行、
その予備竿としては#1の交換、もしくは修理が必要です。

・・・交換って、あんた、また、エラい出費だよ。。。

そんな小生のお寒い台所ならぬ、お小遣い事情が故、
今回は穂先の回転トップ、その交換にチャレンジしてみました。

方法はご諸兄各位のブログ、釣具屋さんのHPを参考に。

・・・一通りの修理作業を終えた今なら言えることですが、
ご経験のある方なら恐らく、何の心配もない作業でしょうも、
何分、小生は初めてでして、己の忘備録として残す限りなのです。



①回転トップを穂先から除去

ライターなどの炎で既存の回転トップを煽り取り去ります。

・・・とは言うものの、
参考とした各文献を拝読していて、一番に疑問だったのはここなンです。

この正規品の回転トップ、接着剤で固められているのか?
はたまた、カシメで#1の先端に固定されているようにも見えます??


・・・ちょい待ち!
その前に、ナゼ、曲がった破損穂先が2本もあるのか??

無念ではありますが、
そこは詮無き粗忽者の為せる所業!
さあさあ、笑ってヤって、おくんなせい(涙)。


いずれ、接着剤もカシメも加熱で取り外せる固定方法では無いような。
果たして、本当に回転トップは取り外せるのか??

しかし、そこは、案ずるより産むが易でした。

加熱しすぎを嫌ってライターでは無く、
ロウソクの炎で少しづつ焙ってみることに・・・

熱くなったであろう金属トップ、それを軍手で摘まんで引っ張ってみました。
すると、ほろりと、簡単に取り外せて。

・・・どうも炎の熱で穂先のカーボン樹脂が溶けだし、
結果、金属トップはスルリと抜き取れる様子です。

確かに、
母材が溶け出してしまえば、どんな固定方法でも解けますね。

その証拠に焙り時間を少し長くしてしまうと、
穂先のカーボン樹脂に火が着いてしまいます・・・

ここは、短時間の焙り・加熱が肝のようです。


②回転トップの取れた穂先を綺麗にする

これはこの後の接着剤の付き具合、それを良くする目的でしょう。
上記写真のように抜き取られた穂先、
溶けてなのか、接着剤の残りカスなのか、汚れています。

小生はここを有機溶剤は避けて、無水エタノールで良く拭き取りました。


③穂先先端の径に合った回転トップを用意する

無水エタノールで穂先の汚れを除去した後、
その穂先の外径・直径をノギス(メモリ式の安価なもの)で計測します。

概ねΦ1.5~1.6くらい。
その結果に沿って、新しい回転トップを購入しました。
お値段は千数百円とお安くて。

でも、この新品の回転トップなのですが・・・

う~ん、くびれ部分が正規品より、かなり細いな~。
て~い、この商売上手め!
こりゃまた、粗忽者はいつかは曲げるな、絶対に・・・


④回転トップを穂先に接着する

もう最後の工程です。
回転トップを瞬間接着剤で穂先に接着、固定します。

瞬間接着剤の使用、
この修理に限らず、その極意は、少な過ぎず・着け過ぎず、ですね。

多少、見栄えは宜しく無いですが、とりあえずは交換修理完了です。

これで本当に、問題は無いのか??
その答えは来る晩秋の犀川ニジマス釣行、
はたまた、来シーズンの長良川本流釣りで明らかになるでしょう。


「驕れる者も久しからず、ただ春の夜の夢の如し」

小生、粗忽癖はなかなか治りませんが、
せめて、お道具くらいは末永く使いたいのです。

驕ることなく、大きな出費も抑えられ、
ありがたや、ありがたや・・・




<渓流風景は南信州 この夏の売木川から>