「木曽路はすべて山の中である」
・・・マンガばかり読んできて、
生粋の文学には縁の遠かった小生ですが、
この一節が誰の何という物語の出だしなのか、
それくらいは解ります。
それ程にも、有名なんですね。
悪ガキだった頃からのいつもの旧友と、木曽路中山道を歩いてきました。
振り返るにはチト早い我らの年頃、昭和40年生まれですが、
良くも・悪くも、一緒にハメをハズしてきたこれまで。
そんな遠い昔を思い出しながら・・・
旅の始まりは物語と同じく馬籠宿から。
これまで幾つかの中山道の宿場町を尋ねてきましたが、
ここ馬籠宿は他と違って、急な山斜面に貼り付く様相です。
特に中津川側からの最初の登りなぞ。
お陰で遙か南方には、恵那山がよく見えます。
GWは始まったばかり。
昨日は冷え込みましたが、本日はそれ程でも。
宿場町は観光客で溢れています。
我らおじさん4人組、目指すは妻籠宿。
40年近く前の高校生の折、逆のルートは今頃の季節、
南木曽~妻籠宿~馬籠峠~馬籠宿そして落合川まで、
この中山道を二日間掛けて歩いた我らです。
高校では禁止されていた原付バイク。
そんな校則は「無視の川虫」と、当時は今風な若者の我らでしたが、
ナゼ、そんな高校生が、ガラにも無く中山道をテクテク歩いたのか?
しかも二日間も掛けて。
歩いたという事実は皆の記憶にあるのですが、
その理由に至っては・・・
小中学校は気のあった仲間の同窓会?
高校を入り直した仲間のお祝い会?
ただの気まぐれ、はたまた、集団プチ家出??
何だったかな~。
馬籠の宿場町を抜けて中山道は山道に。
まだ恵那山が拝めます。
でも、それもここまで。
木立に囲まれ、石畳となる中山道。
馬籠峠に向けて、急な登り坂が続きます。
ハーヒー、ハーヒー・・・
50の坂を下る我ら、もう、息も絶え絶え。
「お!これ、ヨモギだな。
ほら、葉の裏が白いよ。」
意外にもI君が、道ばたの雑草を摘み取って講釈を。
摘み取った葉を指ですり潰し、
「これ、匂いを嗅いで見ろよ。良い香りだぜ。」
その昔、ハイソ・カーを乗り回し、やんちゃだったI君。
会うたびに、彼女の顔が違っていました。
今は忙しい仕事の合間、
毎週末でお母さんの実家、畑仕事のお手伝い。
そこで覚えた野草の知識だそうです。
「そんなの嗅がないよ、
犬が小便を掛けたかも知れないし・・・」
と、笑って切り返す小生。
我ながら、相変わらずは天の邪鬼。
ダメだな~、小生、もっと素直になっても・・・
もう少しで峠の頂上、その少し手前。
高校生の旅路ではこの民宿で、一泊のお世話となりました。
当時と変わらず、古い造りの木造家屋です。
水曜夜のテレビじゃないけれど、「座敷わらし」が出そうな雰囲気。
「こんなところで泊まるのはイヤだ!」
そんな意見が宿を目の前にして、
若気の至り、当時は仲間内の何人からか。
まあしかし、予約も済ませ、夕食も近い時間帯。
ここでドタキャンは宿も困ろうに・・・と、
各位で意を決して宿泊することに。
お出迎えは、気の良さそうな、おじさんとおばさん。
その晩は、おじさんがその日に仕留めた、人生初のイノシシ鍋でした。
疲れていたハズなのに、ノリはまるで修学旅行の夜。
囲炉裏を囲んで遅くまで起きていました。
遠い昔にお世話になった民宿を越え、
ついに登りに登った馬籠峠に到着です。
峠からの眺望は、ほんの少しだけ御嶽山が。
さあ、これから方角はその御嶽山に向け、
妻籠宿まで長くなだらかな下りが続き・・・
と、行きたいのですが、
お時間&体力的にも、我らおじさん、
ここが限界です。
16才の頃の様には行きませぬ。
今来た道を引き返し、馬籠宿へ向けて。
彩り鮮やかな花の下、
哀愁が漂う後ろ姿、そぞろ歩きのおやじ3人。
その漂うオーラは、積み重ねてきた人生そのもの!?
この休みの内に、また一緒に喫茶店でも行きますか。。。