吉田川と馬瀬川。
岐阜県のほぼ中央、峠を挟んで仲良く並んで流れる二つの川。
いずれ伊勢湾に注ぐ長良川と木曽川の支流です。
源流は極めて近接しているのですが、途中からおまえは左、おれは右。
その経路は紆余曲折しています。
そのためなのか、この二つの川、キャラもどことなく違うような。
独断と偏見で、
優しく女性的な吉田川。
深山幽谷、天空の馬瀬川。
今年の渓流初釣りは先月の下旬、晴天白銀の馬瀬川でした。
早すぎる訪問、全くのボ~ズ。
恐らくそれは今日も同じ、釣果はダメでしょう・・・
じゃあ、何で行くの??
・・・小生も皆様とご同様、日々どっぷりと浮き世のしがらみに絡まれています。
何となくですが、今日ばかり、深山幽谷、静かな天空に我が身を置きたくて?
それに、厳しい馬瀬川がボ~ズでも、優しい吉田川が楽しませてくれるのでは?
<馬瀬川 大原~樽谷>
パスカル清見での馬瀬川は相も変わらず雪景色。
しかし季節の移り変わりは確実で、河原の雪は溶けて無くなっています。
道の駅で休憩の後、今日はせせらぎ街道を直進。
気温は3℃、先回のような氷点下ではありません。
楢谷手前の入渓口で準備をしていると「おはようございます。」
軽トラックのおじさんがお声がけ・・・漁協さんの検札です。
小生 「ごくろうさまです。はいこれ、年券です。今日は釣れますか?」
おじさん「う~ん、厳しいかもね。2週間前にここへ地元の人が入ったんけど、
歩きに歩いて2匹だけだったそうですわ。」
・・・何となくですが、渓流撮影紀行に終始しそうな感じがします。
ともあれ、急な雪斜面に気をつけて降下、河原に降りてみると・・・
始めます。
先週のアマゴ釣り大会で展開した”技法”、弛み・止水域への重点攻略、
これを中心に的を絞って。
馬瀬川も最上流域のこの辺り、
雪解けも相まって水が澄んでいます。
聞こえる音はせせらぎのみ。
陽の当たる場所の大岩、沈み岩。
その前後周囲の弛み、
見つけ次第に振り込んで。
反応が無ければ直ぐ次へ。
釣りのテンポが早いです・・・残念ながら。
撮影のコマも増えます・・・残念ながら。
この画面手前の沈み石群、
そこでは少し粘ったのですが、
全く手応えナシ。
このところの晴天続きで、
渇水気味を心配したのですが、
その気配は感じられません。
やはり、釣れない原因は・・・
低水温と技能不足、でしょう。
<桃源郷の怪>
この回廊を右に折れれば、昨夏は8月の中旬、
こんな小生でも「尺上アマゴ」にお目もじ叶った”桃源郷の淵”があるはずです。
ところが・・・
淵の手前、増水期には”通らず”になるであろう、大岩の狭間がすごい水深。
着用しているナイロン・ウエーダーではとても前進できません。
いや、多少の無茶が効く、夏用のウエット・パンツでもこの深さ・勢いでは・・・
今日の水量、決して渇水では無いですが、かと言って多いとも思えず。
これまでのポイントを見る限り、昨夏の記憶と余り変わりは無い様子でした。
左側の大岩によじ登り、回廊の奥、右大岩の向こう側をのぞき込みます。
しかし、その10数mほど先の様子が岩陰で伺い知れず。
辛うじて、大岩の脇から流れてくる流れを見る限り、その奥は荒瀬か段々瀬。
そんなような音も岩向こうから聞こえます。
「桃源郷の淵が消えちゃった?あれは幻だった?
それもだけれど、何なんだ、この”通らず”の存在は?
川の地形が変わっただけ?
深山幽谷の馬瀬川、その最上流、こんなことは日常茶飯事?」
残念ですが、”桃源郷の淵”を拝観すること無く、疑問・謎ばかりを残して、
深く切り立った馬瀬川、
暫し呆然の後、今来た渓谷を入渓口を目指して引き返します。
初夏、身軽なウエット・パンツを着ているときに、捲土重来としましょう・・・
<午後は優しい吉田川>
綺麗でもあり厳しくもあった午前中の馬瀬川。
そこに今日は別れを告げて、お昼過ぎから吉田川まで戻ります。
いつもの明宝は高橋近辺、朝来る途中にご同輩の人だかりでした。
ここで本日はアマゴの成魚放流。
・・・先週じゃ無いけれど、放流魚で万が一でボ~ズでは、またメチャへこみそう。
それに、今日は”お一人様”になりたい気分。
高橋は外してもう少し上流、畑佐の集落の北外れで吉田川に入ります。
水温は6℃、良い感じです!
午前中の馬瀬川同様、弛み・止水域を重点攻略。
標高が馬瀬川より低い分でしょうか?
他の生き物の活動も吉田川の方が活発そうに伺えます。
それらしいポイントを抑えに抑え・・・
エサのブドウ虫ではアタリが遠く、試しにミミズに替えた直後、
斯様な落ち込み横、対岸の岩の縁、さして深くないユルい流れからアタリです。
落ち着いて、一呼吸の間を置いて・・・アワせます!
お出ましになったのは20cmを少し越えるくらいのイワナさんでした。
写真ではさほどに目立ちませんが、まだ少しサビた感じが。
活性も低そうで友舟に入れて持ち運んだのですが、中で跳ねることも無く大人しく。
とは言え、今シーズンのこれが二匹目!
しかもそこそこサイズ!
春分前でこの成績は上出来です・・・小生的に。
その後も吉田川をどんどんとさかのぼりましたが、
後にも先にも、初級者にはこれ一匹のみでした。
いやそれでも、楽しい週末の午後!癒されます!
優しく受け入れてくれる吉田川。
厳しくも一人静かになれる馬瀬川。
そしてもう一本のお気に入り、荒々しくダイナミックな小坂川。
今年も何回、夢を見させてくれるのでしょうか??
<データ>
エサ :ブドウ虫、ミミズ、イクラ
竿 :6m
仕掛 :針 吉村7号、糸 0.3号
釣果 :イワナ 1匹 目測7寸(20cm超) リリース
気温 :馬瀬川 3~6℃ 吉田川 12℃
天候 :晴れのち曇
表層水温 :馬瀬川 3℃ 吉田川 6℃