・・・あくまでも、経験談ですが。
人は自分の身に危険を感じると、
目の前の物事をスローモーションのように感じます。
この感覚には名前がある様で、何でも「タキサイキア現象」と言うようです。
現在でもこの現象については研究が為され、一説には危機を感じた瞬間に血圧が上がり、ホルモンの一種はアドレナリンが急激に分泌、全ての動きがゆっくりに感じるようです。
恐らくですが、
本能的にスローに感じることで、その危機を身をもって回避する為なのでは?
・・・遥か昔は小学校4年生のときです。
名古屋金山のダイエー(現イオン金山店)からたも網を買っての帰宅時、
R19は九丁堀の交差点を当時は元気いっぱいな少年であった小生、
交通ルールは何のその、見事なまでの自転車による斜め横断を。
「スイッチ」が入ったのは左折する車、それを認識した時でした。
目の前へ高速で、しかし、感覚的にはスローで迫る白のクーペ。
車内には運転手の若いおにいさん、その助手席にはおねえさんが。
・・・恐らくは、ドライブ・デートの途中だったのでしょう。
楽しい時間のハズのお二人には、小僧がヤラかす迷惑千万な出来事、
フロント・ガラス越し、びっくりから引き攣り顔への変化は今でも鮮明に。
事故の衝撃でポ~ンと宙を舞う小生。
その後は引力による自由落下、しかし、ゆっくりと迫るはR19のコンクリ舗装、
どうでしょう、着地後にはその上を数回ほど転がったでしょうか・・・
直ぐに身を起こすと、
乗っていた自転車はグチャグチャ、
むなしくも車道にはポツンと残るたも網が、
おにいさんの乗用車もバンパーが大きくへこんで。
しかしながら、
小生は膝にほんの擦り傷だけ・・・誠に、悪運が強し!
それでも万が一を考え、今でも人生で一回こっきり、救急車に乗せられ病院へ。
検査と赤チン治療の後は、薄暗い病院の待合室にて、
やつれたおにいさんの横、おねえさんが泣いていました。
そのまた横で、小生に向け激高・カンカンなるは我が母親が・・・
つい最近では・・・
粗忽者の織りなす所業です、渓流釣りでは事を欠きませんね。
痛かったのは奥三河 段戸川釣行でした。
苔むした傾斜のある平らな沈み岩の上、見事に滑ってしこたま腕を岩角で強打。
スベる!
と思った瞬間から、スイッチ・オン!
世界の全てが「♬スローのブギに、してくれよ♬」。
一瞬の出来事のハズなんですが、
視線は徐々に、川から樹木に、それから青いお空へと・・・
背中から沈み岩の平面に倒れこみ、咄嗟に柔道の「受け身」を取りました。
・・・シマノさんに申し訳ないですが、それ以降、
ウエーディング・シューズの靴底はピン・フェルトから全フェルトに交換です。
今年の夏も・・・
釣行後は馬瀬川上流は大原~楢谷のV字谷、その土斜面を登る際でした。
ウエーディング・シューズは全面がフェルト底。
水中の岩面には有効な滑り止めですが、斜度のある土面には無効果です。
毎度の如くは生い茂る熊笹、それをグワシっと掴んでの退渓。
もちろん、粗忽者は粗忽者なりに、慎重に歩みを進めるのですが、
ひょいと手にした細木、腕越しに体重をかけたときは手遅れ、
気付くは枝先には葉の無い、それは全くの枯れ木でした。
アカン!
と思った拍子にスイッチがオン。
メモリーに伝送される画像ビット・レートは急激に上昇。
まず手元の細木が折れて、次いで足元がズルり。
目の前に土斜面が迫り、刹那に全てがゆっくり後退していく風景が。
腹ばいになった状態で急斜面をズルズルと・・・
幸いにも2mほど滑り落ちたところ、そこに熊笹の群生があり停止しました。
・・・この日の釣行、釣果はとても良かったのですが、
竿の穂先も折れて、衣服はどろどろ、散々でした・・・
しかし振り返ってみると、
大昔の自動車事故の方が、最近の渓流での危機より鮮明な記憶です。
もっとも・・・
長い人生の時間の中、何度も繰り返しは思い出しての出来事です。
そんな理由から、幼少の記憶の方が明確に残っているのでは?
いや、きっと思い返しているうちに、
何か所かの細かな記憶は脚色・追加されていることも?
いずれにしても・・・
仮にタキサイキア現象が自身の身を守る本能的な能力ならば、
若くて先の長い、幼少・青年期にはより発揮され、
老い先短い中年期では、残念、その効果が乏しいのかも。
大きなケガはなく無事に過ごせた今シーズン。
来シーズンに向け、事故のない、安全・無事な釣行を願うばかりです。
・・・さて、本日も良いお天気!
体力維持に歩いてきますか、また、ご近所でも。
<渓流風景はその段戸川・馬瀬川から>