2020年11月29日日曜日

玉野渓谷と愛岐トンネル群

 

中央本線 定光寺駅は山の中腹、そこに張り付くように設置されています。


毎年での小学校の春の遠足、その行先はここ定光寺でした。

金山から普通列車に乗って高蔵寺を過ぎる頃、
それまで民家や田畑が中心であった風景は、山が迫り渓谷に入ります。

初めての長いトンネルを抜け、眼下に玉野川(庄内川)が流れる駅、
それが定光寺です。


最近になって知ったのですが、
小生の記憶にある定光寺駅、そして中央本線は元来からのものではなく、
小生が生まれた翌年に出来たものだそうです。

明治33年開通時の路線・トンネルはその時に廃線となり、
しかし今でもその一部は現存して、春と秋の年2回で公開されています。

今週末はその公開に合わせ、廃線跡のトンネルと玉野渓谷を訪れました。


パンフではJRによる来訪を推奨、自家用車はご法度な様子です。

しかしながら・・・
今の小生の自宅からJR中央本線の利用、それははなはだ便が悪くて。
名鉄で名古屋の大曽根、またはバスで春日井・勝川を経由?
直線距離では定光寺まで、ほんの12kmなのに??

さて、どうしたものか・・・
いや、待てよ、そう言えば!


久しぶりですが、こいつで、行ってみますか。
空気を入れて、油を差して、そして充電して。

如何ともし難いのは、我が体力とお尻の強度だけ・・・
しかし、まあ、何とかなるでしょう。
若いカップルの白いクーペに跳ね飛ばされないよう!


自宅を出てまずは尾張広域緑道をR155まで南下します。
桃花台を抜ける方が距離は短いのですが、そのルートはなにせ坂が多くて。

電動アシストですが、古いバッテリーは直ぐも電力が枯渇、
アシストは、ここ一番、の短区間での「上り坂」のみにて。


エイこらと、ペダルを漕ぎ続ける事を約2時間。
車体・体力・お尻、ともに問題なく??定光寺駅に到着です。


久しぶりに見る玉野川。
子供のころは気づきませんでしたが、
ここを見る限りでは渓流釣り、こりゃ、イケるンじゃないの?
・・・とても良い渓相をしています。

橋から反対側、下流方面を眺むれば・・・


少しおっかない感じ、窓ガラスは全壊の廃墟旅館が。
ここも時代の流れを感じます・・・

さあ、自転車を置いて、ここからは徒歩にて、定光寺駅へ。


駅の階段登り口から更に数百m、廃線跡・トンネル群への入り口です。


トンネル保存の由来を拝読します・・・なになに・・・


開通当時の名古屋~多治見間、駅はたったの5つのみ。
我が郷里の金山駅なぞ存在せず、もち、ここ定光寺駅もなし。
意外にも春日井駅も無かった・・・
当時は勝川の方が開けていたのでしょうかね?
しかし、そんな駅数で、果たして集客力はあったのでしょうか?

急階段を上り、いざ、廃線跡へ。
見えてきました、最初のトンネル入り口です。



当時のバラストが転がるトンネル内、暗くて歩きにくいです。
しかし・・・とても、おしゃれな、演出が。


トンネルの出口を塞ぐように映える木々。


小生が生まれた翌年に廃線となったトンネル群。
と言うことは、この木は小生とほぼ同い年、干支は蛇年のおとめ座??

廃線の横を流れる玉野川。
晩秋の玉野渓谷、紅葉がとてもきれいです。





廃線と共に新線が開通。
今ではこの奥の山の中、もっと長いトンネルを列車は走っています。


新線と共に名古屋~瑞浪間は電化・複線化がされたようです。
この旧線は単線の無電化仕様・・・
壁内にこびり付いた黒いススが、当時を旅情を物語っています。


尾張平野から多治見の盆地へ至る経路としては、
・内津峠を越えてのR19と中央道
・瀬戸市を抜けるR248
・犬山市は今井から可児市へ抜ける県道
それからこの玉野川に沿う中央本線に愛岐道路と、
標高は高くもない山々ですが、美濃と尾張の国堺、行ける道は限られています。


・・・裏道としては徒歩・自転車のみが通行可能、
五条川沿いは八曽を経由する東海自然歩道もありますが・・・

急こう配は禁物の鉄路となると、やはり川沿いはこの愛岐ルート、
ここに中央本線は敷かれたのでしょう。


名古屋を経って、初めての難所は玉野渓谷。


足場が悪く薄暗い廃トンネルを幾つか越えて、
渓谷美、紅葉を楽しみながらの小一時間、とうとうやってきました県境へ。

愛岐トンネルの公開区間もここまでです。


最後の6号隠山トンネルは333m、長かったです。



さあ、ここから折り返し。
お昼ご飯を頂いてから、今来た廃線・トンネル群を定光寺駅に向け戻ります。


しかし玉野川は、見るからに結構な渓相、ほんとに釣れないのかな?


もうすぐで公開区間の出口、駅の手前で河原に降りられるポイントが。
これを好機と捉えて。



近づいてみると判るのですが、こう、なんと申しましょうか・・・
拙い我が渓流釣りの経歴ですが、その第六感が言うのです。

「いや、これ、ちょっと、違うな・・・」



何の根拠を持って、そう言わしめるのか、理由は定かでは無いのですが。
・・・コイ科はともかく、マス科の渓流魚は、釣れそうに、ありません。



廃線・トンネル群と玉野渓谷を楽しんだ後、再び、電動チャリで帰路に着きます。


写真で見ると何とも無い、下り・登りの坂道ですが、
往路で2時間の自転車漕ぎ、トンネル訪問で1時間の徒歩、
50代の坂を転げ落ちるおやじ、そんな彼にはこれ、大変なんです。

下りでは回生充電、登りでは電動アシストを。
それでも、ご主人と一緒、「死にかけ」バッテリーはみるみる電力を消費。

加えて、午後からは北西の風も吹き出して・・・


来シーズンに向けての体力維持を兼ねての運動です。
事故も無く、お尻も無事!?

しかし、長い旅路となりまして候(そうろう)。















2020年11月23日月曜日

スローに映る出来事

 


・・・あくまでも、経験談ですが。

人は自分の身に危険を感じると、
目の前の物事をスローモーションのように感じます。

この感覚には名前がある様で、何でも「タキサイキア現象」と言うようです。


現在でもこの現象については研究が為され、一説には危機を感じた瞬間に血圧が上がり、ホルモンの一種はアドレナリンが急激に分泌、全ての動きがゆっくりに感じるようです。

恐らくですが、
本能的にスローに感じることで、その危機を身をもって回避する為なのでは?



・・・遥か昔は小学校4年生のときです。

名古屋金山のダイエー(現イオン金山店)からたも網を買っての帰宅時、
R19は九丁堀の交差点を当時は元気いっぱいな少年であった小生、
交通ルールは何のその、見事なまでの自転車による斜め横断を。

「スイッチ」が入ったのは左折する車、それを認識した時でした。

目の前へ高速で、しかし、感覚的にはスローで迫る白のクーペ。
車内には運転手の若いおにいさん、その助手席にはおねえさんが。

・・・恐らくは、ドライブ・デートの途中だったのでしょう。
楽しい時間のハズのお二人には、小僧がヤラかす迷惑千万な出来事、
フロント・ガラス越し、びっくりから引き攣り顔への変化は今でも鮮明に。


事故の衝撃でポ~ンと宙を舞う小生。

その後は引力による自由落下、しかし、ゆっくりと迫るはR19のコンクリ舗装、
どうでしょう、着地後にはその上を数回ほど転がったでしょうか・・・

直ぐに身を起こすと、
乗っていた自転車はグチャグチャ、
むなしくも車道にはポツンと残るたも網が、
おにいさんの乗用車もバンパーが大きくへこんで。

しかしながら、
小生は膝にほんの擦り傷だけ・・・誠に、悪運が強し!
それでも万が一を考え、今でも人生で一回こっきり、救急車に乗せられ病院へ。

検査と赤チン治療の後は、薄暗い病院の待合室にて、
やつれたおにいさんの横、おねえさんが泣いていました。
そのまた横で、小生に向け激高・カンカンなるは我が母親が・・・


つい最近では・・・
粗忽者の織りなす所業です、渓流釣りでは事を欠きませんね。

痛かったのは奥三河 段戸川釣行でした。
苔むした傾斜のある平らな沈み岩の上、見事に滑ってしこたま腕を岩角で強打。


スベる!
と思った瞬間から、スイッチ・オン!
世界の全てが「♬スローのブギに、してくれよ♬」。

一瞬の出来事のハズなんですが、
視線は徐々に、川から樹木に、それから青いお空へと・・・
背中から沈み岩の平面に倒れこみ、咄嗟に柔道の「受け身」を取りました。

・・・シマノさんに申し訳ないですが、それ以降、
ウエーディング・シューズの靴底はピン・フェルトから全フェルトに交換です。



今年の夏も・・・
釣行後は馬瀬川上流は大原~楢谷のV字谷、その土斜面を登る際でした。

ウエーディング・シューズは全面がフェルト底。
水中の岩面には有効な滑り止めですが、斜度のある土面には無効果です。
毎度の如くは生い茂る熊笹、それをグワシっと掴んでの退渓。

もちろん、粗忽者は粗忽者なりに、慎重に歩みを進めるのですが、
ひょいと手にした細木、腕越しに体重をかけたときは手遅れ、
気付くは枝先には葉の無い、それは全くの枯れ木でした。


アカン!
と思った拍子にスイッチがオン。
メモリーに伝送される画像ビット・レートは急激に上昇。

まず手元の細木が折れて、次いで足元がズルり。
目の前に土斜面が迫り、刹那に全てがゆっくり後退していく風景が。
腹ばいになった状態で急斜面をズルズルと・・・

幸いにも2mほど滑り落ちたところ、そこに熊笹の群生があり停止しました。

・・・この日の釣行、釣果はとても良かったのですが、
竿の穂先も折れて、衣服はどろどろ、散々でした・・・


しかし振り返ってみると、
大昔の自動車事故の方が、最近の渓流での危機より鮮明な記憶です。

もっとも・・・
長い人生の時間の中、何度も繰り返しは思い出しての出来事です。
そんな理由から、幼少の記憶の方が明確に残っているのでは?

いや、きっと思い返しているうちに、
何か所かの細かな記憶は脚色・追加されていることも?


いずれにしても・・・
仮にタキサイキア現象が自身の身を守る本能的な能力ならば、
若くて先の長い、幼少・青年期にはより発揮され、
老い先短い中年期では、残念、その効果が乏しいのかも。


大きなケガはなく無事に過ごせた今シーズン。
来シーズンに向け、事故のない、安全・無事な釣行を願うばかりです。

・・・さて、本日も良いお天気!
体力維持に歩いてきますか、また、ご近所でも。


<渓流風景はその段戸川・馬瀬川から>












2020年11月15日日曜日

晩秋の渓流撮影紀行~木曽の渓

 

13日の金曜日、その夕方。
仕事を終えてスマホを確認すると、家内からLINEが届いていました。


2台ある我が家の自家用車。
「舌切り雀」じゃないですが、小生は主に軽自動車を、
家内は大きな車(と言っても、ヴィッツ)を使っています。

最近、そのヴィッツの調子が悪くって。
LINEには家内の悲痛な訴えが・・・

家内曰く、本日は走行中に突然カーナビが消え、車からポン!ポン!と音が、
その後はインパネに黄色いびっくりマークと赤いハンドル模様?
そんな警告灯が点灯した、もう、死ぬかと思った、とのこと。

・・・運転下手、メカ音痴の家内です。
なんのこっちゃ?要領を得ません。
ただ、無事なご様子は何よりです・・・


先月に車検を受けたばかり。
不調の症状としては、朝一番のエンジン始動が今一つでした。

先々週はそのディーラーで様子を見て頂いたのですが原因不明。
直る保証は出来かねますが、燃料噴射器を交換されては?
と、しっかり7万円!!のお見積りが笑顔と共に。

暫く様子を見てみます・・・
の苦笑いで、お店を後にした我が夫婦でした。


帰宅すると既に机上には1万7千円の領収書が。

警告灯が付いてから家内は直ぐにディーラーへ直行。
車載PC履歴からバッテリーの不調と判明、交換してもらったそうです。

「明日は川へ行くんでしょ?
 様子見を兼ねて私の車で行ってよ。
 もう、あんな死ぬような思い、まっぴらご免だわ!」

・・・そんな、こんなで、昨日は「実験台」。
「病み上がり」のヴィッツで行く、晩秋の木曽路は一人旅と相成りまして候。


前置きが長くなりましたが、出立時の朝一番のエンジン始動・・・良好でした。
一路、中央道を中津川へ向けて。


<最初は阿寺渓谷へ>

何事もモノには順序と言うものがあります。

お勉強なら、小学校から始まり中学校、そして高校へ。
将棋ならまず、飛車前の歩、もしくは角スジの歩から。
恋の旅路もA、B、C、D・・・少しずつ順を追って。

思えば小生の木曽の釣行、初っ端は西野川・末川の奥座敷・本丸からでした。

・・・恋路で言うならば、初デートでいきなりの「C」かな?
意味が解らないボクちん・お嬢さんは、ご両親に尋ねてね・・・

でも名古屋方面から見て、もっと手前にも名だたる名川が。
その一つが、ここ、阿寺川でしょう。

渓流釣りでの大先輩、アサシンさんのお勧めです。


このお盆のお忍び釣行、この場所は川遊びの「ちびっこ天国」でした。
エメラルドの流れ、色づいた紅葉、背後の青空とベスト・マッチ!

渓谷の入り口に車を停めて、川沿いの林道を登ります。


熊の出没?
へ!こちとら、毎度のことよ。
お腰に熊鈴、防水スピーカーで行進曲!



渓谷の入り口から始まる、いきなりの山岳渓流。
標高は低いはずですが、大岩が転がり、落差のある流れが続きます。


この流れだけ見ていると、ここはイワナの渓でしょうか?
6mは小継竿の出番です。


林鉄の赤茶けた橋が見えてきました。
往時の状況、風情を感じさせます・・・


渓流沿い、林道沿いのモミジも、今が陽に映える丁度の見頃です。

・・・来シーズンに期待が持てる阿寺渓谷。
何事も、順を追って、進めましょう・・・


木曽川との合流点はダム湖を形成、遠くに中央アルプスの山々が。
お天気の良い本日、碧がとても目に沁みます。


<お次は上松 小川へ>

尾張北部の小生の自宅の近く、そこに木曽街道という古道があります。

その昔、尾張藩のお役人が木曽桧・木材の管理地へ向かう道として、
その終着点がここ、上松の赤沢でした。


そこに至る途中は上松で木曽川に合流、小川はここを源に発しています。

上松の町から少しだけ登ったポイント。


先ほどの阿寺川とは趣が違い、頭上の開けた川幅のある流れ。
小生には馴染みのある、きっとアマゴの渓でしょうね。


阿寺川では見頃であった紅葉。
ここまで登ると、既にそれも終盤の時を迎えています。

この小川、それに沿った林道を登り。


ここから上流は禁漁区、赤沢自然休養林はこのもっと上流です。



林道を奥へ奥へ、登りに登って・・・

休養林には管理事務所と公園がありますが、今は既に冬季閉鎖の時期。
大工さんが事務所の保全作業をされていました。

風景も紅葉を終えて、冬の装いそのもの。



大工さんの金槌・のこぎりの音が響く、誰もいない公園でお昼を頂き、
再び上松に向けて山を、小川を下ります。



途中、車中泊が出来そうな、公衆トイレもしっかりとチェックして。


・・・この上松 小川も来シーズンのお楽しみになりそうです。


<最後は木曽川本流 宮ノ越>

木曽の渓での釣行は、これまで支流ばかりでした。
本流筋である木曽川では、まだ一度も竿を出したことも無く。

思えば・・・
木曽福島より南で釣りをされているご同輩、左様な方をお見受けしたことも無く。
と言うことで、木曽川の本流はその上流、宮ノ越まで登ってみました。


ここまで登ると大河 木曽川も川幅が狭まり、これならポイントも絞れそうな。
・・・撮影している背後では、中央本線の特急しなの号、轟音で橋梁を通過です。


「巴淵」と名の付く、大きな淵の終端は堰堤、斜陽と紅葉の対比、きれいです。


淵の上には中央本線が。
「巴淵」の立看板を拝読すると・・・


なるほど、聞き及んだことがあります。
「巴」は木曽義仲の巴御前から頂いているようです。

・・・失礼ながら、
女豪傑なところはウチの家内に似ているような。
でも、とても義仲思いであった巴御前です。
調子の悪い自家用車の試運転に旦那を駆り出す、
なんて事はされなかったのでは・・・我が不徳の至り。

・・・この木曽川本流も、これまた来シーズンが待ち焦がれます。


本日のヴィッツ、エンジン始動はすこぶる快調、ポン!のポの字もなく。

コロナの影響で春から夏にかけて、ほとんど家から出なかった我が家内、
ここ最近の冷え込みで、ついにはバッテリーが上がってしまった。
何となく、不調の方程式、その関連が見えてきますね。

無駄になる7万円が1.7万円で済み、誠に悪運の強い我が家。
来シーズンの木曽の渓。
そこでの豊漁も、これにてお約束が間違いなし!?でしょうか。