歴史にIfはない、とはよく言われますが、
このフレーズ、
「歴史」と「人生」を入れ替えても、成り立つのではないでしょうか?
あの時、こうしていれば・・・
こっちを選んじゃったけど、あっちにしていたら・・・
そうです、一発勝負が人生なのです!
今週のお話、
まったく、そんな大層なものでは無くて。
<久しぶりはAさんとの釣行>
5月の下旬に遅めの今期デビュ~を果たした前職場のAさん、
その馬瀬川での釣行は残念なものでした。
60歳を機に2年前に初めて渓流釣りにトライしたAさん。
夏の夜空を彩る打ち上げ花火の如く、
当初はビギナーズ・ラックの四尺玉だったのですが、
季節に年月、そしてご経験が重なるにつれ、
ナゼかその華々しさは成りを潜めてしまう状況なのです。
「いや~、ごめんなさいね。
今月は仕事がとても忙しくって・・・
でも、7月最後の土曜日は是非、ご指導をお願いできますか?」
当初は6月に予定していた今季2回目の釣行も、
間が悪いことに暑さ厳しいこの時期に。
まあしかし・・・
四尺もあるお魚を釣る訳でもなく、
サイズにしたら尺にもいらない7~8寸狙い。
出来る水先案内人(=小生)が一緒です、
なんとかなるでしょう、きっと!
・・・行く前は、こんな気軽な面持ちなのでした。
<第一の選択~庄川か、馬瀬川か>
まず最初の選択は釣行の行先です。
車中泊が可能なら今の季節、
奥飛騨や木曽路で間違いないのですが、
残念ながら諸事理由でそれが出来ないAさんです。
しかも、極楽とんぼの小生と違い、前日はしっかりと残業を為されて。
となると、いくら早起きしても、行先は南飛騨が限界です。
やはり、馬瀬川上流か?庄川か?
ここに加わる情報として、
ここ最近の小生の<データ>から、
なまくら生成AIがはじき出した回答は「庄川」でした。
いつもの小生車中泊の定宿は荘川 治郎兵衛のイチイ。
昨晩の到着時は小雨でしたが、
今朝は少し路面が濡れている程度、
湿っぽくも清々しい朝の飛騨の風景です。
・・・しかし、今日は暑くなるだろうな。
6:00の待ち合わせに、
いつものようにヤル気は満々で5:45に到着はAさんです。
着替えに世間話の後は、
車中泊キットで狭い小生のハスラー、
それに二人で乗り込み釣行の目的地まで向かいます。
<第二の選択~支流か、本流か>
ここ一か月の<データ>では一色川がベターでしたが、
暑くなるであろう本日、そこは恐らくご同輩で満員御礼かと。
しかし、本流もアユ師さんで激コミでしょう。
でも、多分それは8:00以降の出来事では?
連日のアユ師さんのご訪問にて、
本筋にはそこそこサイズの「残りマス」がきっと。
朝一番の勝負に期待して、庄川上流はマトバ橋まで登ります。
少し川を下ったポイントで、早速にも竿を出すAさんです。
小生は今少し下流側の落込み&淀みにて釣り開始。
今週末も朝は川霧がお出迎え、なのですが、
昨晩で小雨が降った割には何となく、
ウエットのウエーダーから伝わる水温は、ぬる目?
その為でしょうか、
落ち込み後の流れからは、まったく、アタリなし・・・
暫く粘った後、上流のAさんのポイントまで戻ります。
そのAさん、
何やら川岸でしゃがみ込み、ビクにお魚を入れているご様子!
・・・いや~、人生にIfは無いけれど、
今日これまでの選択、その甲斐があったか(嬉)!?
「釣れたんだけど・・・
なんか、とても小さくてね。
とりあえずのキ~プですよ。」
ビクの中のお魚を拝見するのですが、
5寸以下はリリースのルール、
それが、とても、ビミョ~なサイズ。。。
「ざわざわっ、とした流れから出たね。
釣れても小さいのばかりだよ、きっと。
それと、緩いところからはアタリは無いね。」
・・・出来る水先案内人、
彼はAさんから、逆に教えを頂くのであります。
<第三の選択~このまま暑い本筋か、涼しい木陰下か>
その後、二人でマトバ橋近くまで釣り上がるも、
Aさんの言われる通り、
いわゆる「瀬釣り」なのですが、掛かるは新子・小ヤマメさんばかり。
時刻は間もなく9:00となりますが、
本日はアユ師さんのお姿も無く、
ただただ、日なたで石河原のこの近辺、暑いばかりで・・・
「もう直ぐそこはマトバ橋か。
ここからは自分も初めてのポイントだし・・・
う~ん、
このまま進むか?それとも、大きく河岸をかえるか?
しかし、河岸を変えても、暑い今日は難しいぞ・・・」
・・・水先案内人の独り言、
釣りは、いえ、人生は、選択と決断のレンゾクです。
背の高い護岸で囲まれた庄川は見通しが利かず、
先行して奥は上流のマトバ橋方面を覗くと、
橋から奥は頭上が木々に覆われています。
「よし、狙うは塩焼きサイズの6~7寸!
このまま木陰下に逃げ込み、
チョウチン釣りならそのサイズ、何とかなるのでは?」
・・・思案の末の水先案内人、
彼は笑顔でAさんに、その結果を伝えるのであります。
「日が当たると暑いから、橋の奥の木陰で釣りますか。
チョウチン釣りは何個か仕掛けの用意がありますよ。」
<第四の選択~川を戻るか、高巻きするか>
橋から奥は渓相がガラリと変わりました。
両側を岩壁で挟まれ薄暗い流れ、木陰が続き幸い暑さは凌げます。
0.7号糸は2.5mのチョウチン仕掛け、
それを幾つかAさんに手渡します。
それでも、流石にこの狭い川幅です、
釣り人二人では窮屈なポイントは、
小生が先行させて頂くのですが、
6~7寸も夢のまた夢、残念ながら、アタリは遠くて。
「いや~、ここは狭くてムリすると危ないね。
護岸を登って”高巻き”をしますか。」
とAさん。
急流に下半身を浸さないと通れそうにないポイント、
そこを高巻きでヤリ過ごし、奥へ、奥へと進みます。
「地図上では間もなく、”魚帰りの滝”に出るハズ。
その上の橋は国道から退渓するか・・・」
・・・出来る水先案内人、
自身も初のポイントでは、先を見越して行動します。
ところうが・・・
大きな滝です、落差4mはあるでしょう、更にその奥にも滝が。
でもあの滝、庄川の名勝「魚帰りの滝」では無くて、
ここから先は「とうせんぼ」、とても登れそうにありません。
しくりました・・・
退渓にはマトバ橋まで引き返す必要が。
「そっか~、参ったね。
でも”高巻き”の時に気付いたけれど、
この岩肌の尾根まで、そんなに距離は無かったよ。
多分だけど、あの尾根を越えれば川からは出られるよ。」
・・・若かりしは学生の頃、山岳部に所属されていたAさんです。
渓流釣りは未経験とのことでしたが、
沢登り&登山は経験豊富とのことで、
ここはAさんのご提案へ沿うことに。
言われる通り、
滑りやすい土斜面ですが、熊笹を掴んで3mほど登れば、
程なくのヤブ漕ぎで「魚帰りの滝」の駐車場に出られました。
先生ツラして指導していた水先案内人なのですが、
齢60越えの初心者は流石に観察眼や人生経験が豊富、
思えば今回、小生が教えて頂いたこと、それが幾つかもあります。
残念ながら結果・釣果が伴わないのは、
それは恐らく「運・不運」だけの問題なのでは?
・・・書を捨て、川に出なさい。
そうすれば、川が自然に、あなたに釣り方を教えてくれます。
渓流釣りの教科書に、そんな一節がありました。
忙しくて釣行回数は少ないAさんですが、
既に渓流釣りのコツ、それは掴まれたのかも知れませんね。
小ヤマメをリリースしてマトバ橋を後にする我々なのでした。
<データ>
7月27日 庄川
エサ :ミミズ、ブドウ虫
竿 :6m 天平
仕掛 :針 吉村7号
天井糸 0.7号 0.7m
水中糸 0.3号 4.5m
錘 1号
釣果 :ヤマメ 5寸 1匹
小ヤマメ 数匹
※しかし、Aさんのこと、とやかく言えないね。
気温 :20~28℃
天候 :曇りまま晴れ
表層水温 :20℃ きびし~~
月齢 :21.2