このお盆休みに映画を見ました。
邦題名は「リバー・ランズ・スルー・イット」。
この題名から「イット」の意味が気になります。
川が、何を・何処を、流れ過ぎていくのか?
渓流釣り(フライ・フィッシング)とある家族の生き様を絡めた映画、
見終わると「イット」の指し示す意味が見えて来ます。
舞台は100年ほど前のアメリカ北西部、
ロッキー山脈を流れ下る川のほとりは田舎町にて。
鉄道はもちろん汽車ですが、
古めかしくも既に自動車は存在し、
小道具としての釣り具は、時代設定が為されているのか?
見た限りでは現代のフライ用の竿やリールと同じ感じのようです。
厳格な牧師の父とその息子は二人の兄弟、
兄は秀才肌でまじめなタイプ、弟は少々やんちゃで豪快、
そんな個性豊かな親子の共通点は大の釣り好きでフライ・フィッシャー。
人が生きていく上で、さまざまな問題に直面し、
その解決や対処にはその人の個性や能力で方法が別れます。
その際に生じるやり方の違いは、そこは個性と意見のぶつかり合い。
時にはケンカにも発展しますが、いずれは家族です、仲直りへ。
その仲裁の証(あかし)がフライ・フィッシングなのです。
物語はこの兄弟の兄の視点で描かれていきます。
幼い兄弟は渓流釣りの基礎を父から受けるも、
そこから先の腕前、その発展はそれぞれの個性が光ります。
・・・僭越ではありますが小生、
この兄弟の兄に似ているか、弟に似ているか、と問われれば、
私事で恐縮も長男たる身の上は小生、ほぼ間違いなく兄の方なんです。
そんな自分が思うにも、
映画の中で大胆・豪胆な弟(役:ブラッド・ピット)の方が腕前は上。
何となくですが、判るような・納得できるような、そんな気がするのです・・・
物語の中で青年となった兄弟、
努力家の兄(ここは小生、堕落家です)は大きな人生のチャンスを掴みます。
大都会の大学での教授としての道。
釣りの腕前は兄より上も、
地元の新聞記者として生きるのですが、
人生の「駒運び」は釣りのそれとは一致せず、
時には警察のご厄介や、ギャンブルで借金を抱え、くすぶった道を歩む弟。
兄からの都会での新たな生活の誘いに、
弟は故郷のロッキー山脈の麓での生活を選びます。
「ここでの釣りが俺の全てなんだよ。」
「原住民(インディアン)の彼女と別れられない。」
「自分の生き方は自分で決めるよ、ありがとう。」
劇中で兄の誘いを断った弟、
その心中はセリフとして描かれていませんが、如何ばかりのものだったのか?
兄も兄でギャンブルや借金に苦言を呈すも、
強引に弟の生き方を変えさせる、などと言うことはせず。
変わる生き方、変えたい生き方、でも、変えられない生き方。
そこはもう、二人とも、既に大人なんですね・・・
もう間もなくで故郷を離れる兄。
父と兄と弟で暫くは一緒に出来ないであろう、渓流釣りに出かけます。
・・・しかし、役どころとはいえ、ブラッド・ピットはムチャです。
小生だったら絶対に渡河しないであろう激流、
そこに首まで漬かりながら、
お魚のかかった竿を離さず、流れに身を任せます。
成り行きに心配する父や兄の心は何のその、
激流の終わりは平瀬にて、
1mもあるであろう大ニジマスを竿にぶら下げ、
弟は立ち上がって誇らしげに父と兄に満面の笑みを返します・・・
この直前は劇中での弟の目線、振込みポイントの選び方、
これはきっと、渓流釣り経験者が撮影時に演技指導をしたのでしょう。
流れに沈む大岩と大岩、それに挟まれた流れの弛み、
そこを目掛けてブラッド・ピットはフライの毛バリを打ち込みます。
・・・自分もミミズを振り込むなら、きっとそこですね、間違いなく!
しかしながら、恐らく釣果は7寸イワナ、でしょうかね・・・
この釣行の翌日、弟はギャンブル絡みの事件で、その命を落とします。
「渓流釣り好きには堪らないよ」と勧められ、いつかは見たかった映画。
最後のシーンは年老いた兄がひとり、
夕まづめは山河の流れに幾度もフライを打ち込みます。
戻る事の出来ない過ぎ去った過去や、今はもう居ない家族を顧みながら。
川の流れのように止まることなく、また、逆らうことも難しい人生です。
自分にも、恐らくは誰にでも、重なるであろうこの回想シーン、
夕まづめの寂しい渓流と人生の黄昏時がマッチして、とても印象的でした。
<渓流風景は初夏の石徹白川から>
4 件のコメント:
こんにちは!
懐かしい映画ですね。
私も何度が観ました。ちなみに日本の映画にも渓流釣りが出てくる名作があります。
岐阜県の旧徳山村を舞台にした「ふるさと」という映画です。
ダムに沈む村の抱える問題を題材にしたような映画です。
一度、機会があれば、観てください。
アサシンさん、こんばんは。
これは歳のせいでしょうか?実は最近、じっと座ってテレビ、特にドラマは見ていられないンです。根気が続かないと申しましょうか・・・その点、家内は「テレビ大好き人間」なので感心します。
映画を見るのも久しぶりでした。その内容も、この歳だからでしょうか、感情移入してしまい、久々に印象に残る作品でした。
邦画のご紹介、ありがとうございます。ぜひ、見てみます。
ウエーダーでなく、サスペンダーパンツで釣りをする姿が本当にカッコいいと感じました。
あれ以来、7月以降は渓流シューズにジーパン姿が定番になってます。70近いジー様がやる事じゃあないですよねーwwww。
morikyu
morikyuさん、おはようございます。
この映画を紹介頂いたのはmorikyuさんだったか、アサシンさんだったか・・・いずれ数年前だったかと。映画に至っては公開は30年前なんですね。小道具としての竿、リールは現代と大差ないように見受けましたが、確かに釣りの着物は、特に下半身は体に張り付いて、あれは普通のジーパンなのでは?と思いました。morikyuさんも今、あのスタイルですか・・・
腕の良い人はザブザブと川に余り入り込まない、と聞き及びます。さすがですね!
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